熱性痙攣は、6カ月~5歳ころの子どもが急な発熱に伴って意識障害、けいれんを引き起こす病気です。
通常38℃以上の発熱時で急激に体温が変化するときに起こり、半数近くが繰り返しますが、成長に伴い6歳前後でほとんど起こさなくなり経過は良好です。
日本では小児のおよそ8%、西欧では3%くらいにみられます。一部3~5%がてんかんに移行するといわれます。
- 目の焦点が合わない。白目をむいていたり、目がどこかに寄っている。
- 話しかけても反応がない。(意識を失っている)
- どこか体の一部がガクガクと動いている。
- 全身が突っ張ったり歯を食いしばっている。
- 泡をふいていたり、嘔吐している。
このような症状が2・3分間~20・30分間おこり、治まった後は普段通り話せるようになったり、意識が戻って機嫌が悪くなったり、寝てしまう事も多いです。
※けいれんが治まった後も、手足(多くはどちらか一方)の麻痺が続くことがある:Todd麻痺と呼ばれ、数時間で改善する
- 周りに危ないものが無いように物をどかして寝かせる。抱っこはしない。
- 嘔吐物でのどが詰まらないように顔は必ず横向きにする。
- 時間を計る。痙攣が始まった時間、終わった時間をメモする。※大切です!
- 救急車を呼ぶ。
- 痙攣の様子を落ち着いて観察する。(これが一番難しいですが、これも時間同様大切なことなのです。目の動きはどうか、どこが痙攣しているか。あとで医師の判断材料になります。)
まず初めての方が多いと思います。その時は、迷わず救急車を呼んだほうがいいです。5分以内に痙攣が治まらない場合や、顔色が悪くなるような場合も同様です。
痙攣が収まったとしても、検査をしていただいたり、医師に診てもらったほうが安心ですし、何より本当に「熱性痙攣なのか?」は素人ではわかりません。
なので救急車を呼ばなかったとしても、必ず医療機関を受診しましょう。
幼い子どもの脳は発育途上なので脳神経細胞が急な体温の変化に弱いために起こります。痙攣を起こす他の病気がないことが条件になります。
遺伝的な要因もあり両親に熱性痙攣の経験があると、子どもが2~3倍頻度が多くなるといわれます。また男児にやや多いともいわれています。
発熱の原因としては突発性発疹、夏かぜ、インフルエンザなど急に高熱を出す疾患で多いようですが、高熱をきたす疾患はすべてけいれんのきっかけになります。
熱性痙攣は予後が良好といわれています。年齢とともに再発率は下がり、起こりにくくなります。小学校に入学するころにはほとんどなくなりますが、時に8~9歳になっても起こすことがあります。
熱性痙攣から将来3~5%がてんかんに移行するといわれていることから、てんかんへの移行が考えられ、脳波検査や抗てんかん剤の内服治療が必要になることがあります。1歳未満での初発のときにはてんかんへの移行率が高くなります。したがってこれらに該当する場合は脳波検査を行うことが多くなります。
もし自分の子どもが目の前で痙攣をしたら、なかなか正気でいられないのが現実だと思います。ですが、熱性痙攣は予後が良いとも言われてますので、うろたえると思いますが、落ち着いて対応していきたいですね。